第21回 SL、DHのインスペクション

 

前回に引き続いてインスペクションのお話です。

SL、DHには、GSとは違った一面を持っているので、

それにあわせてインスペクションのやり方が少し異なるのです。

 

基本的には前回解説したとおり、コースの配置や雪質を見るのですが、

SLにはほかの種目にはないストレート、

DHには普通では考えられないスピードと、斜面変化の多さがポイントとして加わるのです。

 

まずはSLから解説しようと思います。

SLの場合、ストレートは非常にやっかいな代物です。

これも主にリズム変化とラインを落とさせるために設置されているので、

この前後の滑りでタイムが大きく変わってしまいます。

 

ストレートはとにかく縦に縦に滑れば、特に問題なくクリアできます。

しかし、ストレートに縦に入るのは非常に難しいのです。

ストレートまでにラインを充分に上げておかないと、

ストレート内で板を左右に振ることになり、タイムロスにつながってしまいます。

 

また、ストレートを通過すると、当然滑走スピードが上がります。

それはあまりブレーキ要素を使わないからです。

そして、急に上がったスピードに対して、ストレートを抜けた後、

次の次の旗門が、たいていの場合振り幅がきつくなっているのです。

つまり、ストレートで落とされるのは問題外ですが、

その後の2旗門をがんばってリズムをつかまないと、

コースアウトしてしまう可能性が非常に高くなります。

SLでコースアウトするポイントの大半はこの部分で起こります。

本合宿編SLその1でも多くの人がここでコースアウトしていることがわかると思います。

 

そういうわけで、インスペクションではこの部分を重点的に観察しなければならないのです。

インスペクションの時には、ストレートの出口にタイミングを合わせるようにラインを考えます。

ストレートは次の2旗門のための準備期間にあてるべき場所なのです。

ここでタイミングをとれれば、その後の2旗門が非常に楽になるのです。

 

次にDHのインスペクションについて解説します。

DHは、特にラインを考えなければならない種目です。

全員がフルカービングで滑っていくので、滑走ラインがタイムアップのポイントになります。

斜面が大きく開けていて、見渡せる場面ではGSなどと同じなのですが、

斜面変化で先が見えない部分では、ある程度インスペクションのときに、

斜面に入っていく角度を発見しておかないと、

斜面変化後の旗門に入れなくなってしまうこともあるのです。

 

実際に斜面変化のある部分では、斜面上から見て、

どの方向に飛び出していくかという目標物を決めておきます。

例えば、レストハウスであったり、リフトの支柱であったり、

斜面の上から見て、どこに飛び出していくかがわかるようなものなら何でもかまいません。

(当たり前だけど雲とか動くものはやめてね・・・)

このようなことは、斜面変化の部分だけでなく、

大きく斜面が左右に曲がっていたりして、先が見えないときにも行います。

 

そして、DHは特に緩斜面ではほとんどコースが荒れることはないのですが、

スピードの乗っている部分での深回りを求めている部分では、

最後のほうになると荒れが目立ってきます。

そういった意味でも、雪質のチェックは充分に行うべきです。

 

これでインスペクションのお話はおしまいです。

次回は、大会編第4回として、スタート地点でのワクシングについて解説します。

 

 

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