第20回 コースインスペクションのやり方

 

大会編2回目はコースインスペクションのやり方です。

これも人によってやり方に個人差があると思います。

ワールドカップの選手でも、佐々木明やボディー・ミラーのように、

ほとんどインスペクションをしないで滑る人もいれば、

ヘルマン・マイヤーのように時間いっぱいまでインスペクションする人もいます。

まあやり方は個人差があることはわかってもらえたと思いますが、

何にでも基本と言うものがあるので、今回は基本を紹介します。

 

コースインスペクションは、コースの下見をして、自分のイメージを作るために行うものです。

だから、別に義務的にコースを覚えたりする必要はありません。

もちろん覚える人もいると思いますが、それは個人差と言うものです。

 

とにかく、下見をするのですから、下見をするポイントがあるわけです。

下見をするポイントはいくつかあって、まず最初に見るのはスタート地点からの景色です。

これは、スタートに立った自分をあとから想像できるように、

そしてその緊張感を先に作っておくために管理人は行います。

他にも、スタートから見たポールの並びや、第1旗門の入り方などを見ます。

スタートから見るときのポールの並びは、特に振り幅を見ます。

そして斜面のねじれを見ます。

この段階で、見える範囲での注目ポイントを作っておく必要があります。

注目すべきなのは、明らかに振り幅がきつくなっている部分と、

片斜面で落とされそうな部分です。

これらの部分は実際にコースに入った時にもう一度確認して、

ラインのシミュレーションを入念に行っておくべき部分です。

 

そして実際にコースに入ります。

コースに入る時は、スタートから自分がどのラインを通っていくのかをシミュレーションして、

ラインを考えながら自分が通るべきラインを考えてインスペクションしていきます。

基本的にはインポールの自分の通るべき場所に行って、

通りそうな頭の高さで1旗門前と後のインターバルや落差、振り幅を確認します。

スタートから見て同じようなリズムで行けそうな場所は、

これらの確認をほとんどしなくてもよいですが、

ラインのトレースだけはし続けるようにします。

そしてここで一番気にするのは雪の状態です。

少しでもへこんでたり、少しでも段差があるところは、

自分が滑るころには大きな溝や段差になっています。

こういうところで足をとられたりしやすいので、覚えておくべきポイントです。

 

さて、リズムが一定のポールは非常に滑りやすいセットです。

本合宿編スラロームその1は一定のリズムである典型です。

こういったセットのポイントはリズムに早く乗ることです。

一度リズムを得てしまえばあとは同じリズムでポールが来るので非常に簡単にクリアできます。

 

スタートから見えない部分まできたら、またポールの脇からコース全体を見渡します。

ここでまたある程度の概要をつかんでおきます。

そしてやることは同じです。

ポール脇でのコースの確認と雪の状態の確認です。

 

次に考えるのはリズム変化のある部分です。

リズム変化のある部分では前々からリズム変化があることを頭において滑らないと、

いざリズム変化を迎えた時に失敗してしまいます。

わかりやすいのはスルーゲートです。

スルーゲートはリズム変化のポイントになります。

スルーゲートは無理矢理ラインを落とさせてタイム差をつけさせるために設置されます。

そのため、このスルーゲートの前後をいかにうまく抜けられるかがタイムアップの秘訣になります。

基本的にスルーゲートでは次のポールに上から入れるようなラインを逆算して通るべきラインを決定します。

だから、スルーゲートの前に来たら、スルーゲートの中まで一気に進まないで、

2旗門ぐらい前からラインを慎重に逆算して、スルーゲートの1旗門目をどれくらいの角度で、

そして旗門からどれくらい離れた部分を通るかを覚えます。

そして、そこを通るためにその前に通るべきラインをつなげて滑走ラインを考えます。

これは全ての種目に共通して言えることなので覚えておきましょう。

 

リズム変化のポイント2つ目は斜面変化です。

急斜面から緩斜面に入る時はそれほど気にならずに行けるのですが、

緩斜面から急斜面に入る時はたいてい急に振り幅が大きくなることが多く、

また、緩斜面から急斜面になると後傾になりやすく、ラインを落とされやすくなるのです。

こういった場面は、斜面変化後のセットが見えないので、

斜面変化の頂点に立って緩斜面と急斜面のセットを見比べ、

振り幅の変化や斜度に対応するための前傾角度を確認します。

 

さて、ちょっと長くなりすぎたので今回はこの辺にしておきます。

次回も引き続きコースインスペクションについて考えますが、

次回はSL、DHの特徴的なセットのインスペクションの方法を解説します。

 

 

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